頭痛を予防する対策まとめ|頭痛を予防する方法とは?セルフケアから予防薬まで脳神経外科専門医が解説

頭痛を予防する対策まとめ|頭痛を予防する方法とは?セルフケアから予防薬まで脳神経外科専門医が解説
頭痛予防

「また頭痛がしてきた……」と、頻繁に起こる痛みに悩まされていませんか?

本記事では、脳神経外科専門医の視点から、頭痛が起こる仕組みやタイプ別の予防法、そして薬に頼りすぎないための最新治療まで、詳しく丁寧に解説します。

日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医/指導医

日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医/指導医

當銀 壮太

南武線鹿島田駅から徒歩5分のかしまだ頭痛 脳神経クリニック院長。「頭の悩みを気軽に相談できる場所を作りたい」という想いから、川崎市幸区にクリニックを開院。地域中核病院にて、脳血管障害や頭部外傷、脳腫瘍への専門的治療(開頭手術・カテーテル治療・化学療法)に幅広く従事。その豊富な臨床経験に基づき、患者様一人ひとりに最良の医療を提供することに尽力している。

そもそも頭痛はなぜ起こるの?

頭痛のメカニズムは複雑ですが、頭痛は、脳や神経、筋肉などさまざまな要因が関係して起こります。片頭痛では三叉神経系の活性化や脳の過敏性が、緊張型頭痛では首や肩の筋緊張が関与すると考えられています。

一次性頭痛(片頭痛・緊張型・群発)の違い

以下の表は代表的な特徴をまとめたものです。ただし、実際の頭痛は複数の特徴が重なっていたり、典型的ではない症状を示したりすることも少なくありません。

特徴 片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛
痛みの種類 心臓の拍動に合わせた「ズキズキ」した痛み 頭全体を「ギューッ」と締め付けられる痛み 目をえぐられるような「耐え難い」激痛
主な部位 頭の片側(両側の場合もある) 後頭部、こめかみ、頭全体 片側の目の奥や周囲
期間 4〜72時間続く 30分〜数日間 1〜2ヶ月間、毎日決まった時間に1〜2時間
随伴症状 吐き気、光・音への過敏等 肩こり、首のこり 目の充血、涙、鼻水
主なトリガー ストレスの解放、空腹、光、生理 長時間のデスクワーク、精神的緊張 飲酒、喫煙

二次性頭痛との違い―危険なサインを見逃さない

これらに対し、何らかの病気が原因で起こるのが「二次性頭痛」です。中には命に関わる重大な疾患(くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍など)が含まれるため、以下の「レッドフラッグ(危険信号)」を見逃さないことが極めて重要です。

  • 突然の激痛: 今までに経験したことのない突然の頭痛
  • 麻痺やしびれ: 手足に力が入らない、言葉がもつれる。
  • 発熱を伴う: 発熱に加え、項部(うなじ)の硬直や意識が悪くなる。
  • 経過の変化: いつもと違う頭痛。痛みが日に日に強くなる、数週間かけて悪化する。
  • 初めての経験: 50歳以降に初めて出現した頭痛。

これらの症状がある場合には、脳卒中や髄膜炎、脳腫瘍などの重大な病気が隠れている可能性があります。早めに脳神経外科や脳神経内科を受診し、必要に応じて精密検査を受けることをお勧めします。

特に、突然発症した激しい頭痛や、麻痺・意識障害を伴う場合には、速やかに救急受診をご検討ください。

頭痛は予防できる?

「体質だから仕方ない」と諦めていませんか?頭痛は適切な予防治療や生活習慣の見直しによって、発作の頻度や重症度を減らせることが分かっています。

頭痛を予防する最大のメリットは、生活の質(QOL)の向上です。仕事のパフォーマンス低下を防ぎ、休日を寝込んで潰すこともなくなります。また、早期から予防に取り組むことで、後述する「薬物乱用頭痛」のリスクを減らすこともできます。適切な知識と対策があれば、頭痛の回数を減らし、痛みの程度を軽くすることは十分に可能です。

【タイプ別】頭痛の予防法

頭痛のタイプによって、良かれと思ってやったことが逆効果になる場合があります。自分のタイプに合った正しい予防法を確認しましょう。

片頭痛の予防

片頭痛は「脳が過敏な状態」にあるため、脳への刺激を最小限に抑えることが基本です。

  • 規則正しい生活: 寝不足はもちろん、休日の「寝だめ」も頭痛を誘発します。毎日決まった時間に起床・就寝しましょう。
  • 光と音の対策: 強い光が片頭痛の誘因となる方もいます。まぶしさが気になる場合は、サングラスや帽子などを活用し、光の刺激を減らす工夫をしてみましょう。モニターの輝度を落とすのもよいでしょう。
  • 空腹を避ける:空腹は片頭痛の誘因となることがあります。朝食を抜かず、規則的な食事を心がけましょう。

緊張型頭痛の予防

緊張型頭痛は、首や肩の筋緊張に加え、ストレスや疲労などさまざまな要因が関与していると考えられています。長時間同じ姿勢を避け、適度な運動やストレッチ、十分な睡眠を心がけることが大切です。

  • 姿勢の改善: スマホやPCを覗き込む「ストレートネック」の状態を避けましょう。30分に一度は背筋を伸ばしてください。
  • 温熱習慣: シャワーだけで済ませず、湯船に浸かって全身の血行を促進しましょう。蒸しタオルで首・肩を温めるのも有効です。
  • 枕の見直し: 高すぎる枕は頸椎を圧迫し、筋肉を緊張させます。ご自身が楽だと感じる高さの枕を選びましょう。

日常生活でできる頭痛予防の習慣7選

忙しい人でも今日から取り入れられる、具体的で効果の高い予防習慣をご紹介します。

①睡眠の質を整える

成人の理想的な睡眠時間は目安として6〜8時間ですが、頭痛予防においては「長さ」よりも「リズム」が重要です。週末の寝坊は、脳の血管を緩ませすぎて片頭痛を招きます。寝室を暗く保ち、室温を適切に設定することで、脳を深く休ませましょう。

②水分補給

脱水は頭痛の誘因の一つと考えられています。特に発汗の多い季節や、発熱時、運動後などは水分不足に注意が必要です。

日頃からこまめな水分補給を心がけ、のどが渇く前に水分を摂る習慣をつけるとよいでしょう。

③カフェイン摂取をコントロールする

カフェインは頭痛に良い影響と悪い影響の両方を持っています。適量であれば頭痛の改善に役立つことがありますが、過剰な摂取や急な中止によって頭痛の原因となる場合があります。

特に毎日多量のコーヒーやエナジードリンクを摂取している方は注意が必要です。摂取量を一定に保ち、過剰摂取を避けることをお勧めします。

④適度な有酸素運動を習慣にする

ウォーキングやジョギング、自転車などの有酸素運動は、片頭痛の予防に有効であることが報告されています。

無理のない範囲で定期的に体を動かす習慣をつけることが大切です。まずは散歩などから始めてもよいでしょう。

ただし、発作中や発作が起こりそうな時の激しい運動は、症状を悪化させることがあるため注意が必要です。

⑤食事のタイミングと内容を見直す

一部の患者さんでは、赤ワインやチーズ、加工肉などが頭痛の誘因となることがあります。ただし、誘因には個人差があるため、一律に避ける必要はありません。

頭痛ダイアリーなどを活用し、ご自身の頭痛と食事の関係を把握することが大切です。また、食事を抜くことも頭痛の誘因となることがあるため、規則正しい食生活を心がけましょう。

マグネシウムやビタミンB2が片頭痛予防に役立つ可能性も報告されています。

⑥スマホ・PC使用を見直す

デジタルデバイスが発するブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、脳を興奮状態にさせます。就寝2時間前には画面を見ない「デジタルデトックス」を行いましょう。また、長時間同じ姿勢を続けないようにし、適度に休憩を取りながら使用しましょう。

⑦ストレスマネジメントとリラクゼーション

ストレスや疲労は、片頭痛や緊張型頭痛の誘因となることがあります。

十分な休息を取り、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。散歩や軽い運動、入浴、趣味の時間など、無理のない範囲で気分転換を取り入れましょう。

頭痛予防のための薬との付き合い方

「痛いから飲む」の繰り返しにはリスクが伴います。薬との正しい付き合い方を知りましょう。

市販薬の飲みすぎに注意―薬物乱用頭痛とは

「薬物乱用頭痛(MOH)」をご存知でしょうか?頭痛薬を頻繁に使用していると、かえって頭痛が慢性化する「薬剤乱用頭痛(Medication Overuse Headache:MOH)」を生じることがあります。

一般的に、月10日~15日以上の使用が続く場合に注意が必要とされています。

「頭痛薬を飲む回数が増えている」「以前より薬が効きにくくなった」と感じる場合には、一度頭痛外来での相談をお勧めします。

予防薬を検討すべきタイミングとは

頭痛の頻度が多い場合や、頭痛によって仕事や学校、家事などの日常生活に支障が出ている場合には、予防治療を検討します。

また、頭痛薬の使用回数が増えている場合や、急性期治療薬だけでは十分なコントロールが難しい場合にも予防治療が有効なことがあります。

予防薬は、頭痛の回数や重症度を減らし、生活への影響を軽減することを目的として使用します。

最新の予防薬(CGRP関連薬)について

近年、片頭痛の予防治療は大きく進歩しています。

CGRPは片頭痛の発症に重要な役割を果たす物質であり、その働きを抑える治療薬が開発されています。

現在は、エムガルティ、アジョビ、アイモビーグなどの注射薬に加え、ナルティークやアクイプタなどの内服薬も使用できるようになりました。

これらの薬剤は、従来の予防薬で十分な効果が得られなかった患者さんに対しても有効な場合があり、片頭痛予防治療の重要な選択肢となっています。

適応や治療方針については、患者さんの頭痛の頻度や症状に応じて個別に判断します。

まとめ

頭痛は適切な診断と治療によって、発作の頻度やつらさを軽減できる可能性があります。

  1. 自分の頭痛タイプを理解し、誘因(光、音、空腹、姿勢など)を避ける。
  2. 睡眠・水分・運動といった生活習慣を、一つずつ見直す。
  3. 鎮痛薬の使用頻度を把握し、依存しすぎないよう注意する。
  4. 改善が見られない場合は、迷わず専門医(頭痛外来)を受診し、最新の予防薬も視野に入れる。

「たかが頭痛」と我慢する必要はありません。まずは今日できる小さな習慣から、頭痛に振り回されない健やかな毎日を一緒に目指していきましょう。改善が見られない場合や、これまでの対策で効果を感じにくい方は、ひとりで悩まず頭痛外来にご相談ください。

よくある質問

Q
Q
頭痛を予防する薬はどのくらいで効果が出ますか?
A

すぐに効果が出るものではなく、予防薬は発作の頻度や重症度を減らすことを目的として、一定期間続けて使用します。頻度が高い場合や日常生活に支障が出ている場合は、専門医への相談をお勧めします。

Q
Q
市販の頭痛薬は毎日飲んでも大丈夫ですか?
A

月10〜15日以上の使用が続くと「薬物乱用頭痛」を招くおそれがあります。薬を飲む回数が増えている、以前より効きにくいと感じる場合は、頭痛外来にご相談ください。

Q
Q
片頭痛と緊張型頭痛では予防法が違いますか?
A

はい、異なります。片頭痛は光や空腹などの刺激を避けることが基本で、緊張型頭痛は姿勢の改善や温熱習慣など筋緊張をほぐすケアが効果的です。

お気軽にお問い合わせください

「これって受診したほうがいいのかな?」と迷う段階でも大丈夫です。
症状がはっきりしていなくても、不安や違和感があればご相談ください。

記事の執筆・監修者プロフィール
kashimada.com

日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医/指導医

當銀 壮太

南武線鹿島田駅から徒歩5分のかしまだ頭痛 脳神経クリニック院長。「頭の悩みを気軽に相談できる場所を作りたい」という想いから、川崎市幸区にクリニックを開院。地域中核病院にて、脳血管障害や頭部外傷、脳腫瘍への専門的治療(開頭手術・カテーテル治療・化学療法)に幅広く従事。その豊富な臨床経験に基づき、患者様一人ひとりに最良の医療を提供することに尽力している。