静止時振戦と動作時振戦
手のふるえはその出方によって大きく二つに分けることができます。
何もしていない時や安静時に出現する「安静時振戦」と、手の動作に伴って生じる「動作時振戦」です。
静止時振戦の代表的な病気はパーキンソン病です。脳内のドーパミンというホルモンが減少していくために振戦の他、動作緩慢やバランス障害を生じてしまう病気です。パーキンソン病に似た病気でふるえを引き起こす病気もあります。
動作時振戦の代表疾患は本態性振戦です。高齢者の20人に1人以上が罹患しているとの報告もありますが、若い人でも発症することがあり、学業に支障をきたしたり、職業上の制限を受けたりすることもあります。そのほか、甲状腺の病気や薬剤でふるえが出ることもあります。
けいれんは「てんかん」が原因のことが多いです
てんかん発作の中には、「意識を失い手足がガクガクとふるえる」発作や「ボーッとするような発作」など様々な発作があります。
てんかんとは、脳の神経細胞に異常な興奮が起こる病気で、原因は脳の外傷や腫瘍、脳炎、髄膜炎などのほかに、生まれてくる時に生じた脳の異常や代謝疾患などの先天性の原因による場合もあります。原因が見つからないことも少なくありません。
診断・治療について
神経学的検査、血液検査、MRI検査などを実施し、原因を詳しく診断いたします。これらの検査により、パーキンソン病の類縁疾患や代謝性疾患の鑑別を行いますが、特殊な画像検査や専門的な治療を要する場合には、近隣の病院にご紹介させていただく場合もございます。
ふるえ、てんかんの治療の最初の一歩は、薬物治療です。
しかし、症状が重い方は薬による治療だけではコントロール困難なことも多いです。これらの薬物治療で満足がいかない場合は外科的な治療を検討することもあります。本態性振戦やパーキンソン病に対しては脳深部刺激療法(DBS)が保険適応治療になります。また、本態性振戦に対する最新の治療として、超音波を用いた集束超音波治療(FUS)も注目を浴びています。